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【台本】Vol.3『煙霞の癖』〈A5サイズ〉

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◇あらすじ
その山は、生きとし生けるものを必死に拒んでいる。
聞こえるのは雨と、風と、つんざくような無音だけだ。
白んだ霞が辺りに立ち込めて、まるで結界だと言わんばかりに己を守っていた。
山はそして、嫉妬深いと言う。

愛されてしまったが最後、近づく男は皆動かなくなって、あまりにもうるさい静寂と化すのだ。
そうしてはじめて彼らを満足げに受け入れて、夕餉の煙を吐く。
ふたりきりになった私たちは、麓を見下ろしてはまた今度と誓った。

でも、ならどうして、
騒めく枝葉も、纏わりつく蜘蛛の巣も、掃ってくれなかったんだろう。
私を引き留めておいて、自分のものにはしてくれなかったんだろう。

私を殺せば、ずっと一緒だったのに。

勝手だ。山も、あなたも。私も。

燻る木立が煙となっても、私にはあなたばかりだ。


鎌倉時代中後期に自伝形式で綴られた前代未聞の暴露本、「とはずがたり」をモチーフに、舞台を戦後日本に置き換えて描く、とある女の一年間。
娯楽のない田舎で、煙草とうわさ話を吹かすつまらない人々と、彼女はどう共存し、夢を見たのか。
700年の時を経て、作者・二条へ捧ぐ、露と枕の夢物語。

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